vol.110 2003年9月28日

稲の前にヒエを刈るのだ、それでいいのだ

 9月9日、まるで冷夏の鬱憤を晴らすかのような晴天になりました。朝からぎらぎらの太陽が照りつけます。夏好きのまりこは、嬉しくてしょうがありません。早速、コパトーンを塗ったくり、阿部ちゃんを「とにかく、行くべ」と軽トラに押し込んで、田んぼへ出発です。阿部ちゃんは、チームターザンの一員で日体大出身。あの箱根駅伝の選手だったっていうのだから、気力、体力共に、農作業に申し分ありません。実は2日前、チームターザンのトレイルラン講習会があり、レイコが「その後、朝霧で練習すれば」と呼んだのです。そこで早速、援農仲間に飢えていた(若者に飢えていた?)まりこが、ぱっくりと食いついたというわけです、ぐへぐへ。

 都会育ちの阿部ちゃんは、もちろんヒエがどんなものか知りません。本日の、おめあては、あの恐怖の「共同田んぼのヒエとり」なのですが、いきなり地獄をみせることはありません。まずは、レイコ田んぼへご案内。「ほら、あそこにヒョロ〜っと生えているのが、ヒエよ」「お、分かり易いっすね」。早速、ザバザバと田んぼに入ってヒエを抜いてくれます。約20分、あっという間に、レイコ田んぼのヒエ取りは終わってしまいました。
「んじゃ、経験値が上がったところで、次のステージに行きますか」車で3分、共同田んぼへ到着です。「うわ〜、凄いっすね!!」阿部ちゃんが叫んでいます。いや、この前取ったからそうでも・・・・・・(一目見て)スゲイわ! あんなに頑張って取ったのになー。共同田んぼったらまたしても“ヒエを取るより稲を取った方が早い”状態になっちやんの、けっ。ま、いいや。今回はお米の師匠・米山さんのアドバイスもあって、ヒエ取りならぬヒエ刈りなのです。あまりにヒエが成長しすぎているため、引っこ抜くのは大変だし、稲の根を傷めてしまう怖れがあるので、鎌で刈るのです。

 早速、稲刈り用鎌を手に田んぼに入ります。ほとんどのヒエが穂をつけているため、稲との違いは一目瞭然。『ヒエはどれ?』とあまり悩むことなく、鎌をふるいます。ザク、ザク。刈っていると時折、妙に固く抵抗がある感じがします。その時は、稲も間違えて刈っています。やべっ。抜くときもそうですが、ヒエは見た目が非常に稲に似ているのですが、抵抗力はさほどでもない印象があります。稲よりもはるかに抜きやすいのです。抜きやすいし、刈りやすい。だけど、稲よりも繁殖力が強い。農薬を使えば、ヒエはなくなります。でも、手間を惜しまなければヒエを取るのはたやすいことなのです。

「こんな暑い日にご苦労さん!」と阿部ちゃんに声を掛けながら、田んぼ部長のまさみっちゃんも登場です。「ん? 鎌で刈るの?」と驚きながら、すぐに慣れた手つきでザクザクと刈り始めました。鎌の音、稲穂の音、蝉の声。静寂の時に、時折いつもの「なんじゃ〜、このヒエの多さは!!」と叫び声が響きます。しかしヒエの穂が目立つため、刈り残しはほとんどありません。そして、ヒエ刈りが終わったゾーンは、なんだかさっぱりとカットした頭のようで、田んぼが喜んでいるように思えます。「やった、って実感がわきますね」「おー、すっきりしたな」「うん、キレイキレイ」。
 結局、2枚の田んぼのうちの1枚しかできなかったけど、その差は一目瞭然。山盛りのヒエを軽トラに積んで、朝霧の山へ帰った3人。その夜のビールの旨かったこと、旨かったこと。稲の前にはヒエを刈る、労働の後にはビールを飲む。うん、これでいいのだ。

(バカボンパパの鼻ひげが、ヒエに見えてしまう いすわりまりこ)

アベちゃん画像

まりこ画像

ヒエ画像

まずは、レイコ田んぼで「通常のヒエ取り体験」をする阿部ちゃん。最新号(NO.405)のTarzan、100ページではさわやかなシティボーイ(って、今でも言うのか?)の笑顔ですが・・・ここでもやっぱりさわやかだ〜。 もともと田舎出身でもあり、ここ一年でますます田舎暮らしが身についてきたまりこ。その分、どんどん本来の“乱暴者”が顔を出してきた。いくら「ヒエ取り、LOVE」とはいえ、この多さにはブチ切れ!? はい、みなさん。どれがヒエなのか、お分かりですよね? 稲穂は「実るほど頭を垂れる」けれど、ヒエは「天高く肥ゆる」であります。このヒエの種が全て発芽したら・・・考えただけでも恐ろしい、ぷるぷる。
アベちゃん画像

まさみっちゃん画像

夏になるとレイコ田んぼに出没する、怪しい人。日除けの帽子、稲が目に入らないためのサングラス、腕を傷つけないための長袖。全て理にかなったスタイルなのですが・・・怪しすぎるぜ、まさみっちゃん!

まさみっちゃんとアベちゃん画像

この共同田んぼはアイガモ農法です。(カモちゃんの様子は、* レイコの生態に見るヒエ取りDAY〜底なしの人〜を見て下さい)既にカモは出されていたのですが、なんとカモの死骸発見。しばし、黙祷。
出ている穂だけ刈ってもいいのですが、根本からばっさり刈る方が取り残しがなくていいのです。それにしても、ヒエを鎌で刈る経験は阿部ちゃんはもちろん、田んぼ部長もまりこも初めてです。

まさみっちゃんとアベちゃん画像

アベちゃん画像

アベちゃん画像
軽トラにどっさり積まれたヒエ。いや〜大漁大漁。このまま、ヒエも育たないけど稲も育たない(それほど寒いのです)朝霧へ連れていきます。それにしても、いくら大学の陸上部だった阿部ちゃんとはいえ、かなりきつかった模様。二人とも、素でぐったり。 翌日は、荒れ果てた花畑の開墾にいそしんだ阿部ちゃん。雑草を刈り、石ころを掘り起こし、素敵な花を植えただけでなく・・・。 きゃあ、なんて可愛い石の看板。運動系だけでなく、美術系もイケル阿部ちゃんに「いつまでもここにいていいのよ〜」とレイコ。まりこはまりこで「フェアリーテールの看板、任せた」。逃がさないぞ!?
きゅうり画像 トマトとナスの画像 野菜画像
冷夏の影響は田んぼだけではありません。雨ばかりだったため、畑の作物もかなりやられました。しかし、8月末から9月中旬の晴れによって、成長が止まっていた夏野菜が生き返りました。これはきゅうり。 ほとんど立ち枯れていたトマトも、連日の晴天でちょっと持ち直して実ってくれました。見栄えは悪いけれど、味はスペシャル。冗談抜きで、売っているトマトとこんなにも味の濃さが違うとは思いませんでした。 ニラ、いんげん、ふだん菜、ほうれんそう、小カブ等々、一気に畑が活気づきました。これを書いている9月24日現在は、ラディッシュ、しそ、いんげん、にらが元気です。毎食、食べる分だけ畑から取るシアワセ。
次へ(2003年10月13日)
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