2006年2月22日

■朝霧のお客さま

 みなさん、じらしてごめんなさーい。前回約束した”すごい動物ニュース”、さっそくお届けいたしますね! 実は「ここ朝霧にそんな凄い子がやってきてたんだーーー!」とびっくりしたのは、2月8日の夕方のことでした。以前「遠くへ行きたい」の富士山麓編の時、取材させていただいた富士吉田市在住の動物カメラマン中川雄三さんが久しぶりに遊びにきてくださったのです。富士山界隈の鳥やネズミやフクロウなどなど動物ならばなーーーんでも撮っているすごい方なのですが(http://www.fujigoko.tv/nakagawa/←見てくだされば納得です)、その方が最近よく我が家のそばに来ているそうで、「怪しいと思っていたんじゃないかなーと心配になって、きちんとご報告を」とのことでした。そう、実は今年になって怪しかったんです。夕方になると、東京・神奈川・茨城etc・・・他府県ナンバーの車が幾台も牧草地のあちこちに止まって、何をしているのか分からないのですが、じーーーっと只そこにいるのです。帰るのは真っ暗になってからで、平日もやってきます。数々のカメラマンやバードウォッチャーが訪れる朝霧なので、けっこう慣れている私も「何をしているのか」聞くのが怖くて・・・。そうしたら午後に三々五々やってくる彼らのお目当ては、なんと”コミミズク”だったそうなんです。コ・ミ・ミ・ズ・ク。

 草原でネズミなどの小動物を狙う体長25センチくらいのコミミズク。12月にシベリアから渡ってきて3月末まで日本に居るのだそうですが、飛来地は清里や荒川、そしてこの朝霧高原と極めて少なく、しかもここ10年間は朝霧には来ていなかったそうです。昨年からの以上気象がかえってよかったのかな。最初に発見した方もフクロウの超マニアだそうですが、数羽ほどいたコミミズク、今は1〜2羽になってしまったみたいです。ワシ・オオタカ・カラスと自然の中に敵は多いんですよね。で、愛好家達は写真に収めようと、4時半ころから餌を取り始めるコミミズクを待って待って待って待って待ち続けるのですが、「そんな貴重な動物のこと、みんなに知らせちゃっていいの?」と聞くと、「最近は仲間同士でも連絡取り合って、きちんと情報公開しているんだよね」「みんな来ても追いかけたりしなければ大丈夫だよ」とのこと。広げた羽根が1メートル20センチほどにもなるコミミズクは、可愛いし格好いいので鳥の中でも一番人気だそうです。「フクロウの、じゃないの?」と聞くと、「鳥のだよ」ですって!

 そんなことを聞いてしまってからというもの、我が家ではもうワクワクドキドキでたーーーいへん。散歩の時には双眼鏡とカメラを持って、きょろきょろしながら歩く「怪しい人」になってしまいました。そして「頻繁に見れると思うよ。ポニーの上もよく飛んでいたし」と聞いていたとおり、翌朝には地上2メートルくらいのところをひゅーんと飛ぶベージュの物体を発見。ただし肉眼だったので??? そうしたら夫は牧柵づくりの時に2度もさり気なく見たとのことで、更にドキドキ。そして車も少なくなってきたので「もう何処かにいっちゃったのかな? 死んじゃったのかな?」と思っていた矢先の昨日2月21日夕刻。いらっしゃいました。

 それは何というか、初めて野生のイルカと海の中で出会った時と似ていました。午後、ウランと散歩をしている時に「何だか今日は逢えそう」と思ったのですが、静かにさり気なく無意の時が流れて、ふとログハウスから外に出たときに、50メートルほど離れた牧草地の低木に止まっていたのです。すぐにコミミズクだと分かりました。そして慌ててデジカメで撮ったのが以下の写真ですが、「駄目だ! やっぱり一眼レフじゃないと撮れない!」と更に慌ててカメラバックからニコンを取って、何でもいいからそばにあったネガフィルムを入れて、表に飛んでいきました。友人のつんちゃんは双眼鏡、表作業をしていた夫はデジカメ、柵づくりを手伝ってくれてた佐野さんは自分の一眼レフ。みんな手に取り目を凝らし、一歩一歩ゆっくりゆっくり。一度場所移動はしたけれど、コミミズクには不安は見られません。人間をそれほど恐れないというのは本当みたい。次ぎに移動した先が電線だったので、ちょっとがっくりでしたが(絵的にサビシイ)、それでも約10分間、撮りました。可愛いです。形も動作も堂々感も、なんだかおっとりしていてホッとするものがありました。

 という訳で「今日はなんていい日だったんだ!!」と昨日の私は浮かれていました。またシベリアに戻る彼らにとって、「また来たいなー」と思う土地であったら嬉しいなー。再見(サイツェン)コミミズクちゃん。

 尚、下記の素晴らしい写真は、カメラマンの中川さんより掲載の許可を頂きました。貴重な映像を有り難うございます♪ 感謝無限大。

 
地面で休んでいる朝霧のコミミズク。富士山麓にはコノハズク、オオコノハズク、アオバズク、トラフズク、フクロウそしてコミミズクなどが生息しているのだそうです。
音の情報を掴んだら、一気に獲物に向かって飛翔。ここ朝霧を飛ぶコミミズク。カッコイーーーイ! 我が家の上空を飛ぶ写真もあるとか。うー、見たい!
次へ(2006年2月27日)
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