vol.78 2005年 3月27日  『ゆったり暮らせば』 第50回

産経新聞 平成16年(2004年)3月25日 木曜日 12版 20頁
ゆったり暮らせば 第50回
〜朝霧が教えてくれた〜
仲間がいるから「今が最高」


 いえーぃ♪ 朝霧高原にひさびさの銀世界が広がりました。一歩表に出るとウサギやキツネの足跡が続いており、アニマルトラッキングざんまい。山肌のキャンバスには、積もった雪がいろんな模様を描き出しています。雪が少なかったおかげで工事が進み、先日ログハウスの上棟式を行うことができたのですが、猛吹雪のあとの白い静寂はやっぱり大好き! 春の花はまだ姿を見せませんが、心の中の温度はあがり、夢に向かってアクセルが開き始めたました。

 あと一週間で屋根ができて夏には完成のログハウス、結局大勢のログビルダーや仲間たちとの共同作業となりました。私も暇を見ては磨いたり塗装したり小さな木工品をDIYしたり楽しんでいます。そしてこの家、当然住居と考えていたのですが、カナダの森から百二十本もの木を伐採したことや、いつものようにみんなの力で形になっていることを考えると、「やっぱりみんなで使える空間にしよう」と思ってしまいました。まともな寝床がなかったのに、またもや私の安住の地はないのん?・・・でも悲惨ではなく、それを楽しんでくれる人や必要としている人に「場」を提供したいことが最終的な夢の近くにあるので、「どうぞ」なのです。

 改築した母家でオーガニックカフェやりたいな。旅人を泊めてあの感動的な朝焼けを見てほしいな。どでかい空の下を散歩して、汗を流して、焚き火を囲んで笑ったり泣いたりしたいな。ログハウス教室やって、敷地の片隅にみんなで掘っ立て小屋建てて、井戸掘って、いろりやカマド作って、超スローライフ空間を作りたい。馬や羊や鳥がたくさんいて、糞は畑に還元してすべてがぐるぐる回っていく世界って楽しそう。不耕起栽培の田んぼには、すでにアイガモが田植え前の準備をしていますが、こんなにおいしくて元気の出るお米、もっともっと作りたいぞ! 基本は、圧倒的な自然と本物の食べ物に触れ、人の力が集まったときのパワーを体感することですが、とにかく私は、命が喜び、人間がこの地球で生きていくときに欠かせないものに触れていたいのです。すでに八年半かかってベースは出来つつあり、まさに発進というところまできました。

 そして、出逢いと別れ。もうすぐスタッフの一人がここを去り、新たに一人やってきます。自分の離婚も含めて、自然の中ではいちばんいいであろう結果や場所に到達するのがとても速いようです。でも別れは悲しいことではなくて新世界への入り口。流れることが進むことと教えてくれたのもこの朝霧でした。四十六歳の今が最高と思えるのも、笑いながら一緒に歩んでくれる仲間がいつもいたからです。照れるけれど、「感謝してるよーっ」。ここからは三倍返しで行くから、まだまだついてきてねーっ!
=おわり

景気よくもち投げをした上棟式。自分たちで育てた黒米から投げもちを作ったことが二重にうれしくて・・・=平成16年3月6日、静岡県富士宮市根原の自宅

 
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