vol.74 2005年 1月13日  『ゆったり暮らせば』 第46回

産経新聞 平成16年(2004年)2月26日 木曜日 12版 20頁
ゆったり暮らせば 第46回
〜お米づくりの縁〜
念願かない初女さんとご対面


 お米づくりは、縁が広がっていくという意味で、すごいものがありました。珍しがってた知人や友人も、気が付いたら「田んぼ借りて始めたんだけれど、籾交換しない?」という連絡をくれたりして、なぜか私の回りでは田んぼ旋風が渦巻いています。

 バイクの縁が深い歌手のマイク真木さんは、たまにわが家を訪問してくださいますが、最近「千葉で”波乗米”作ってるんだ。ハジョウマイって呼んでね」となってしまいました。サーファーらしくていい名前ですが、ああ驚いた。女性ライダーの幾人かは、田舎に移って仲間とお米作っています。同時にいろんな場所で同じ現象が起こる「猿の芋洗い」状態にびっくり&にっこり。

 さて昨年一番うれしかったのは、お米の縁であこがれの女性にお会いできたことです。母家改築の時に上映した『地球交響曲ガイアシンフォニー第二番』に登場する青森の佐藤初女(はつめ)さんです。八十二歳になられた今も精力的に講演をなさり、日本はもちろん海外も飛び回り、初女パワーを分けてくれています。真剣だけれど好奇心とユーモア満タンで、なんだかマザー・テレサと同じにおいがする初女さん。さりげない言葉の中に、生きるための心の置き方を示してくれているので、とにかく映画を見た人は、みんなもれなく「会いたい!」と思ってしまいます。岩木山の麓にある『森のイスキア』に行ってみたい。そして初女さんの作る真心尽くしのゴハンを食べてみたい。映画の中で幾度も登場する”初女おにぎり”(握り方に特徴あり)があれば言うことなし! 私もそう思い描いたものの、とにかく忙しく動き回っている方なので、「いつかきっと会えるはず」と時が流れていました。

 「さっきイスキアから帰ってきたばかりなんだ」という岩手の友人Aくんからのメールが届いたのは、一年前のこと。初女さんと親しい人を介して訪ねていったと聞き、私も「連れてってーっ」と騒ぎまくりました。強引だったけれど、願わばかなう。友人たちに案内され、すぐにお会いできることになりました。そしてその時に持参したのが、私の作った『ありが稲(とう)』の黒米を元に、案内してくれた友人KちゃんとA家が協力して作ったドブロク。

 初女さんの手料理(もう、言葉で表すのは苦しいほどおいしかったっす♪)を食べながら、改めてその温かいオーラに触れて満足していたその時です。Kちゃんが「初女さんに朝霧に来ていただいたら」と言います。恐れ多いとぶんぶん首を振っていた私の向こうで、仏のような笑顔で初女さんがおっしゃいました。「私はおにぎり、山村さんはお米づくり。お米の縁ですから、行きますよ」。頭で喜びの鐘が鳴り響きました。さあ、そこからが定番の大騒ぎーっ!

これが縁を取り持ってくれた黒米のドブロク。野生のホップを使っているので、スッキリ感がたまらなく、初女さんも大満足

 
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