vol.26 2003年 1月17日  『私が水着に着替えたら』
 ダイビングの魅力は重々分かっていたものの、あの世界を知るにはやはりタイミングというのがあります。それはバイクとまったく同じですネ。前年のバハ・カリフォルニア半島(メキシコ)取材の時にダイビングが出来たらなあ・・・と幾度も思った私は、帰ってきてすぐに通っているスポーツクラブでライセンスを取得しました。そしてそのころに書いた原稿がこれです。タイトルが時代を表していますねー。ジャック・マイヨールは逝ってしまったし、あれから海の世界も少しずつ変わっているようですが、ダイビング熱は変わりません。頻繁に行けるわけではありませんが、潜るたびに新たな感動が伝わってきます。そして地球という自然の凄さと儚さを想います。どうか海が健康でありますように・・・と願わずにはいられません。

 『私が水着に着替えたら』  1994年  大阪ガスのPR誌

 世の中知らないことがイッパイあるもんだ、と、最近あらためて驚いている。私が時代の流れにウトイだけかもしれないが、とにかく凄いのである。それは海における女性パワーである。実は今夏、前々から気になっていたスキューバダイビングを始めてみたのだが、どこの海岸に行っても、水面から上がってくるのは、カラフルなウエットスーツに身をまとった女性の群れだった。バイクの世界で女性ライダーが多いとは言っても、これほどまではいかない。
 なにしろ潜った回数が、まだ10本(40分を10回ほど)の私。Cカードを取って一カ月ということを考えるとマアマアのペースかな思うけれど、その世界じゃ素人以下。相手にもされない段階だ。だからこそ初めて見聞きするスキューバダイビングのあれこれに興味津々なのである。命の綱の用具、暗黙の規則、深そうで実は浅い歴史の流れ、などなど面白いことがワンサカある。たぶん女性が多いのは、体力をそれほど必要としないこと、用具の発達、そしてショップと連携したガイドシステムの充実のお陰だろう。2つだけショックだったことがあった。1日10時間でも20時間でも好きなだけ潜られると思っていたら、潜水病を避けるため、実は2〜3本が限界ということ。そして、ジャック・マイヨールのようにイルカとグランブルーの世界を漂う夢を見ていたら、イルカと遊ぶには実はスキンダイビングの方が適しているということ。
 知ったときは、ちょっと頭がクラクラした。けれど、それを払拭するほど、海の世界は素晴らしかった。透明度の低い関東の海でも、魚や珊瑚は次々と目の前に現れて、私を魅了した。「マアきれい。ウヒャア可愛い」なんて喜んでいると、40分などあっという間だ。
 とにかく、ダイビングブームの再来と言われて久しいが、そのポピュラー度は想像以上である。嬉しさのあまり友人に吹聴すると、なんと九割が「私もCカード持ってるわよ」との返事。「最近行ってないけど」というのが気になるけれど、多くの女性がアノ不思議な世界を体験していると言うことは、凄いことではないだろうか。海坊主のように海面下に潜んでいるから、サーファーのように人数を感じないが、もしかしたら普通免許所持者やテニス人口と同じくらいいるかもしれない。う〜む、知らなかった。
 とりあえず、クジラやイルカと遊べる技量までは、のめり込んでみようと思っている。決意をウエットスーツに込め、デザインを玄人好みの黒ベースの地味なのにしてみたが、今の悩みはただ一つ・・・巧く見え過ぎることである。

2000年のタヒチ。シュノーケリングで親子鯨と泳ぎました(トップページの映像ですよー)。このあとすぐにランギロア島に行き、今度はスキューバでイルカとランデヴー。なんという幸せな時間!!左は通訳兼インストラクターの喜田純子さん。右は鯨を案内してくれたエリックさん。


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